名作SFをケータイ小説風に読み替える ―S.レム著『ソラリスの陽のもとに』

昨日、スタニスワフ・レムの名作SF『ソラリスの陽のもとに』を読了致しました。
このレムさんという方はポーランド人のSF作家でして、20世紀最大のSF作家の一人とも言われているそうです。

ディックがそんなに好きならレムも読んだ方がいいと友人やAmazonさんに執拗に勧められたので、近所の本屋で買いました。
で、早速読んでみたらやっぱり普通に面白かった。
設定は<まさにSF!!>というに相応しいものだったけれど、決してSFのみの枠に収まらないような、SFファン以外が読んでも絶対楽しめる作品だと思いました。

なので、普通に感想を書いても良いのですが、少し嗜好を変えて、今回この名作SFを勝手にケータイ小説風に読み替えるという暴挙に出ることにします。(レムファンは怒らないでください、すみません。)



まずは、この『ソラリスの陽のもとに』のあらすじから紹介します。



主人公、心理学者のケルビンは、研究のためソラリスという惑星を訪れます。惑星ソラリスは、赤青の2つの太陽の周囲を回っているのですが、計算上ではどう考えてもどちらかの太陽にぶつかってしまう。しかし、ソラリスの大半を占める海が、軌道を修正しており安定した軌道を守っているのです。そうソラリスの海は生きているというのです。
そんな不思議な惑星ソラリスも発見から100年経った今、海の正体は未だにわからないままで、ほとんど研究が放置されている状態でした。
そしてケルビンソラリスで、(到着後まもなく発覚した前任者の死や、その前任者の部屋で見掛けた謎の女の姿、同僚の研究者たちが見せる不可思議な行動など)様々な不思議な体験をします。そして、その原因がケルビン自身にも襲いかかります。突然、10年程前に自殺したはずの元恋人ハリーがケルビンの前に姿を現したのです。
最初、非常に気味悪がったケルビンは、小型宇宙船に彼女を閉じ込めてそれを発射し元恋人の存在を抹殺しようとします。しかし、彼は、それでもなお再び彼の前に姿を現したハリーに対して、徐々に愛着を持つようになり、この元恋人との生活を楽しむようにさえなっていきます。
一方、次第にこの元恋人の存在が、実はソラリスの不思議な海が、ケルビンの記憶を読み上げ、それをもとに造り上げているものだということが判明していきます。そんな中で、ケルビンはハリーを愛する余り、同じような現象に悩まされている同僚らの「怪物」(ハリーらソラリスの海が人間の記憶をもとに造り上げた"偽"の存在)抹消計画を妨害します。
そして、彼とハリーとの幸せな生活がしばらく続きますが、ある日ハリーが突然姿を消します。なんと、自分がソラリスの海から造り上げられた存在=地球に行ってもただ消えてしまうだけの存在であることを知ってしまった彼女は、ケルビンの同僚に頼んで自らを抹消する道を選んだのです。
こうしてハリーを2度も!失ったケルビンは、二度と自分にかつてのような情熱が湧き立たないことを悟りながら、ひとり地球に還っていきます…。




では次に、早速この名作SFをケータイ小説風に読み替えてみましょう。




主人公のタクヤは、ある夜暇つぶしにSNSサイト「ソラリスの海」に登録します。「ソラリスの海」というSNSサイトは、数年前に大流行して情報社会学などで頻繁に研究の対象となっていたのですが、近頃はIDの重複化などの謎のバグが多発した影響を受けて、登録者数が僅か3人というほとんど閉鎖状態の過疎サイトと化していました。
ソラリスの海」登録数日後、タクヤは、いきなりメッセージを受けます。メッセージを見てみると、なんと数年前に死別したはずの元カノ、シズカからでした。タクヤは、相当気味悪がって、シズカをアクセス禁止対象にします。
しかし翌日、またアクセスを禁じたはずのシズカからメッセージが…。実は未だにシズカのことを忘れられてなかったタクヤは、思わずメッセージを返信してしまいます。
こうして、タクヤは「ソラリスの海」を通じて、シズカとメッセージのやり取りを頻繁に行うようになり、まるで付き合っていた頃に戻った幸せな日々を送っていました。
一方で、このシズカという存在は、「ソラリスの海」がバグを起こし、タクヤのIDから、過去のメールやブログなどのログを勝手に参照し、それらをもとに作りだした、言わば"偽"のシズカであることが、親友のカズらの手助けによって明らかになっていきます。(この物語の設定では、なんと日本は「共通ID制度」を採用しており、人々は、ある民間企業が一括管理するIDを用いて、メールやインターネットを利用しているのです!)
しかしその事実を知っても、まだシズカのことを忘れられないタクヤはメッセージのやり取りを続けます。
そんなタクヤの姿を見かねた、タクヤの親友のカズが、「ソラリスの海」の管理者にバグの報告をして、シズカの存在は消えます。
そして、シズカへの気持ちが再び強くなったタクヤはシズカの墓参りへと向かうのです…。




通学中は『ソラリスの陽のもとに』、夜寝る前は『ised』を読んで、極めつけに最近元カノから連絡のあった僕には、こう読めてしまいました!!
レムファンの方ホントにすみません。