FIFAワールドカップ南ア大会2010開幕記念!! —直前大予想スペシャルPART2

ついに待ちに待ったFIFAワールドカップ2010南アフリカ大会が開幕します!!
そこで、僕の独断と偏見と怨念と愛憎とコンプレックスetc.にまみれたマスターベーション的大予想を披露します!


直前大予想スペシャルPART2では、決勝トーナメントを予想しちゃいます!



<ベスト16>
メキシコ1—2韓国
 延長の末パク・チュヨンの決勝ゴールで韓国が勝つ。


イングランド3—1セルビア
 ルーニー大爆発。ビディッチはチームメイト相手にきりきり舞い。


アメリ1—2ドイツ
 アメリカの組織サッカーに相当苦しめられるも、最後はドイツが粘り勝つ。


南アフリカ0—3アルゼンチン
 メッシ大爆発。ホスト国ここで涙を飲む。


オランダ2—0スロバキア
 スロバキア好戦も、後半に力の差を見せられる。


コートジボワール2—0ホンジュラス
 ホンジュラスの持ち味国旗で健闘もドログバ2発で完全復活!


カメルーン1—0イタリア
 前回王者、伏兵ウェボの一撃で姿を消す"まさか"の展開。


ブラジル2—1スペイン
 ベスト16ではもったいないカード。延長戦の末"無敵艦隊"が姿を消す。



<準々決勝戦
韓国1—2イングランド
 好調韓国相手にイングランドが地力の強さを見せつける!


オランダ2—3コートジボワール
 コートジボワールが攻め勝ち、アフリカ勢初のベスト4進出を果たす。
 →"ドログバ"が流行語に。


ドイツ1—2アルゼンチン
 優勝候補同士の好カード。最後は攻撃力の差が出てアルゼンチンが勝利。


カメルーン1—3ブラジル
 カメルーンの躍進もここまで。実力の差を見せつけたブラジルがベスト4!



<準決勝戦
イングランド2—2コートジボワール
 PK突入も勢いの差。もはや"コートジボワール"が流行語に!!


アルゼンチン1—2ブラジル
 南米最強決定戦の軍配はブラジルに。アルゼンチンは後1点が決めれず優勝逃す。



<3位決定戦>
イングランド2—2アルゼンチン
 ルーニー対メッシかと思いきやジェラードが2発。最後はPKでイングランドが3位。





<決勝戦
コートジボワール2—1ブラジル

  こうしてコートジボワールは伝説になったのだった…。

FIFAワールドカップ南ア大会2010開幕記念!! —直前大予想スペシャルPART1

ついに待ちに待ったFIFAワールドカップ2010南アフリカ大会が開幕します!!
そこで、僕の独断と偏見と怨念と愛憎とコンプレックスetc.にまみれたマスターベーション的大予想を披露します!


まずPART1では、グループリーグの予想から始めたいと思います。


<グループA>
1位 メキシコ 
  高地に強いので予選突破は堅いか。
  中盤からショートパスを繋ぐ小気味のいいスタイルは、是非日本代表のお手本にしたい。
  注目選手は中盤の左サイドを務めるグアルダードデポルティボ所属のサイドアタッカー
  高速ドリブルは必見。


2位 南アフリカ
  厳しいグループに入ってしまったホスト国。しかし現地の利点を生かしGL突破!
  何らかの見えない闇のパワーが予選突破に導いてくれるのでは。
  注目選手はサイドアタッカーピーナール。突破力あるドリブルに注目。


3位 ウルグアイ
  フォルランスアレスの超強力2トップを擁するも、不発で開催国には敵わず。
  注目選手はやはりフォルランスアレスの2トップ。
  勝手に不発するとか予想したけど、2人が爆発すればトップ4も夢じゃない。


4位 フランス
  アネルカリベリー、アンリら多くのタレントを抱えるも、チームバランスが…。
  大会直前の親善試合でも格下中国相手に完封負け。何かおかしい。
  注目選手はジダンの後継者と目されるグルキュフ。テクニカルなプレーに注目。



<グループB>
1位 アルゼンチン
  監督がアレ(=マラドーナ)でも強いもんは強い、ということで1位に。
  特にFW。テべス、アグエロミリートがサブに回るほど。
  注目選手はやっぱりメッシ。特にここで言うまでもないが得点王候補筆頭。


2位 韓国
  ナイジェリアとで迷ったけど2位に。攻守のバランスもよく、大舞台にも強そう。
  先のスペイン戦を見ていても守備が堅く、さすがのアルゼンチンも手こずるのでは。
  注目選手はパク・チソン。おそらくアジア最強選手。豊富な運動量は特筆モノ。  


3位 ナイジェリア
  うーん、韓国かナイジェリア…。正直まだ迷っています。わからん!
  タレントは揃っている。そこだけなら明らかに韓国以上。しかもアフリカでの大会。
  やっぱナイジェリアが2位かも!笑
  注目選手はマルティンスニューカッスル戻ってきてー!!(実はニューカッスルファン)


4位 ギリシャ
  ユーロ2004で驚きの初優勝を果たしたギリシャ
  そして1月に僕が訪れたギリシャ。(女性が超絶ビューティフォーだった…。)
  だがワールドカップでユーロの再現は難しいか。金融危機を跳ね返す躍進を期待したいが。
  注目選手は欧州予選得点王のゲカス。
  数少ないチャンスを生かす彼の決定力はギリシャの生命線。



<グループC>
1位 イングランド
  プレミアを長年ウォッチしている立場から言わせてもらうと、今回かなり完成度高い!
  中盤はウォルコットが落選してしまうほど層が厚い。
  それだけにDFの要であるファーディナンドの負傷離脱だけが悔やまれる。
  注目選手はルーニー。とりあえずシーズン中は誰も彼を止めることができなかった。


2位 アメリ
  アルジェリアスロベニアよりは確実に格上で予選突破は堅いか。
  攻守のバランスがよく、ドノバンとデンプシーによるサイドからの仕掛けも魅力的。
  注目選手は、ハル・シティで活躍するアルティドール。とにかくパワフルなストライカー。


3位 スロベニア
  イングランドとアフリカ相手にはやはり厳しいか。  
  しかし組織的な守備でなんとかアルジェリア相手にワールドカップ初勝利!
  注目選手はGKハンダノビッチセリエAウディネーゼでも高評価を受ける。


4位 アルジェリア
  アフリカ予選でエジプトを振り切り、24年振りの本大会出場を果たした。
  が、現状はやはり厳しいか。どこまで守備が持ちこたえられるかが鍵。
  注目選手はフランス生まれのファンタジスタ、ジアニ。テクニカルなプレーが持ち味。



<グループD>
1位 ドイツ
  ここ7大会全てベスト8以内。ワールドカップに無類の強さを誇るドイツが1位通過。
  前回大会得点王のクローゼがバイエルンでレギュラー落ちした鬱憤を晴らす!
  注目選手は両サイドバックをこなすラーム。度重なる攻撃参加は攻撃に厚みを増す。


2位 セルビア
  2位はオーストラリアとで迷ったが、攻撃陣にタレント豊富なセルビアで。
  ジギッチ、パンデリッチ、スタンコビッチ、ミリヤシュ、クラシッチ…。うんいい攻撃陣。
  彼ら自慢の攻撃陣が爆発すれば上位躍進も夢ではないダークホース。
  注目選手はジギッチ。2mの長身とフィジカルの強さを生かしたプレーは驚愕モノ。


3位 オーストラリア
  守備陣が高齢化しやや脆弱な点にひっかかり3位に。個人的には頑張ってほしいが。
  Jリーグでは無双状態のケネディが世界相手にどこまで通用するかは楽しみ。
  注目選手はケーヒル。1.5列目からの飛び出しとシュート精度は健在。


4位 ガーナ
  チェルシーエッシェンの離脱が痛すぎる。
  アッピアームンタリら主力の中盤のコンディションもあまりよくなく、厳しいか。
  注目選手はアナン。エッシェンの代役として期待は大きい若手有望格の守備的中盤。
  一気にブレークする可能性も秘めている。



<グループE>
1位 オランダ
  ロッペンの怪我の具合が心配だが1位通過は堅そう。
  スナイデルファン・デル・ファールトファン・ボメルといったタレントを擁する中盤
  はどう考えても魅力的かつ脅威。
  注目選手は中盤のアンカーとして守備を支えるデ・ヨンク。マンCの躍進に貢献した。
  しつこいハードな守備で今やなくてはならない存在に。


2位 カメルーン
  エトーが爆発。ということで2位に。
  エトーの他にもウェボ、エマナ、A.ソングといった優秀な選手を擁する"不屈のライオン"。
  守備の不安を跳ね返すほどエトーが爆発します!
  注目選手はエトーエトーエトー!ただエトーが好きなんです。(日本代表ごめん)


3位 デンマーク
  ベテランと若手がいい感じに融合したチーム。日韓大会時の主力もズラリ。
  アーセナルベントナーがエースに成長。リバプールのCBアッガーも主力に。
  いいチームだが、俺のエトー好きには敵わず惜しくも3位。
  注目選手はベテランGKのセーレンセン
  ストークに所属しているのでよく見るのだが、本当にいいキーパー。


4位 日本
  応援している人には申し訳ないと思います。
  全てエトーが好きすぎる自分に非があるのです。
  冗談はさておき、まあ4位が妥当かと。前田遼一と小野呼んでほしかった。
  GL突破のためには、初戦のカメルーン戦がカギ。
  カメルーンも日本に勝たなきゃ突破は出来ないと思い全力で来るはず。
  さあ本気になったエトーを止めることができるのか?
  注目選手は江藤。(笑) そんな奴おらんか。



<グループF>
1位 イタリア
  一番楽なグループに入った前回大会の覇者。
  しかし、メンバーは前回からあまり変わらず高齢化傾向に。
  最近の試合でもメキシコに敗れ、カメルーン、スイスに分けるなど不調気味。
  でもこのグループでの突破は確実そう。
  注目選手は36歳のファビオ・カンナバーロ
  長年アズ—リを支えてきたCBにとって最後の大会になりそう。


2位 スロバキア
  ヒディンクがダークホースと目したスロバキア
  チェコから独立後初のワールドカップとなるが、フレッシュさと勢いで2位通過。
  ナポリで活躍するハムシクを中心とした攻撃は高いレヴェルを誇る。
  注目選手は司令塔ハムシク。2008年セリエA最優秀若手選手に選ばれた逸材。
  高い得点能力も備えており、スロバキアの命運を握る若きエース。


3位 パラグアイ
  4大会連続となる出場を果たしたパラグアイ
  経験、組織的な守備力ではスロバキアを上回る。
  が、スロバキアの勢いに押され3位に。
  注目選手はイケメン・エース・ストライカーのサンタクルス
  マンCでレギュラーを取れなかった分まで南アフリカで爆発してほしい。


4位 ニュージーランド
  まずは出場おめでとうございます、という感じ。
  なんとか頑張って1勝してほしいが、厳しいだろう。
  注目選手はブラックバーン所属の長身CBネルソン。
  チームに数少ない欧州リーグ所属の選手。
  豊富な経験を生かしてキャプテンとしてもチームを鼓舞してほしい。



<グループG>
1位 コートジボワール
  "死のグループ"を1位で勝ち抜くのは意外にもコートジボワール
  ドログバの負傷で逆にチームに強いまとまりが生まれた。
  そしてドログバが復帰してチームの結束、ムードは有頂天に!と見た。
  攻撃陣はブラジルにも匹敵するほどの破壊力を秘めている。
  注目選手はコロ・トゥーレと病み上がりのドログバ
  アフリカ最強DFとカカ、C.ロナウドといった強力攻撃陣との戦いは楽しみ。
  そして怪我から復活したドログバが誰よりも激しい気合いで得点王を狙う。  


2位 ブラジル
  例年になくバランスのいい"セレソン" 。逆に言えば少し小粒か。
  いやしかしルイス・ファビアーノはいいFWになったなあ。
  マイコンとか今や世界屈指の右SBだもんな。D.アウべスを差し置いてレギュラーかあ。
  そして何と言ってもロナウジーニョ代表落選!
  うーん、時代が流れるのは速い!(笑)
  絶対的なエースであるカカには要注目。


3位 ポルトガル
  世界一モテる男=C.ロナウドを擁するも正直厳しいか。
  これといったストライカーがいないのが弱点。
  リエジソンかウーゴ・アウメイダか…。いい選手なんだけど微妙は微妙。
  注目選手はウーゴ・アウメイダ
  モザンビーク戦で2ゴール決めた彼が結局レギュラー取りそう。
  彼がハマればGL突破はおろか一気に上位も見えてくる強豪。


4位 北朝鮮
  久々の出場なのに可哀想の一言。
  ホン・ヨンジョ、チョン・テセの2トップは強力だが…。
  さすがに相手が悪すぎです。健闘してください。
  注目選手は2トップのホンとチョン。ポテンシャルは高い。
  特にJでは無双のチョン・テセが強豪相手にどこまでやれるのか。



<グループH>
1位 スペイン
  優勝候補最有力に挙げられることの多い"無敵艦隊"ことスペイン。
  いつの間にか本当に無敵になってしまったではないか!
  流れるようなパス・サッカーは世界中を熱狂の渦に巻き込むでしょう。
  イニエスタの負傷が気になるが、GL突破は堅い。
  マルコス・セナの落選は相当ガッカリしたけど仕方ないか。
  注目選手はバルサのシャビ。スペインご自慢の"クアトロ・フゴーネス"の中心選手。
  精度の高すぎるパスは、見ててたまに気味が悪くなるほど。


2位 ホンジュラス
  北中米の小国がスイス、チリを破る!
  中心選手はジェノアの点取り屋、スアソトッテナムのバランサー、パラシオス
  そして注目選手はやはりパラシオス。魅力は長い足を絡める高度なディフェンス。
  トッテナムの中盤の要として大活躍。攻守に大奮闘を果たした。
  でも何よりもホンジュラスの国旗が好き。


3位 チリ
  次期日本代表監督候補の名将ビエルサ率いる南米の古豪。
  破壊力ある攻撃で南米予選を突破した。
  順当に行けばGL突破しても全くおかしくないが、今回は3位で。
  ホンジュラスの国旗には敵わない。
  注目選手はサラゴサ所属のスアソ
  南米予選得点王に輝いた技巧派ストライカー。


4位 スイス
  大方の予想では2位通過というのが多いが、4位で。
  何でか知らんがホンジュラス2位にしちゃったしね。
  ホンジュラス、チリより確実に攻守のバランスはいい。
  やっぱスイス2位っぽいなぁ。って何で4位?(笑)
  いや、やっぱりホンジュラスの国旗には勝てないよな…。
  注目選手は中盤の要インレル。ミドルレンジに注目。
  "スイスのジェラード"との呼び声も。



ホンジュラスの国旗

『現代お笑い論 PART4』 —2008年「1分間ネタ」革命の始まり

前回までは基本的に「第5次お笑いブーム」についての話をしていました。そこで今回、ついに「ポスト・第5次お笑いブーム」についてのお話に入りたいと思います。

まず前回までの話を要約しましょう。

「第5次お笑いブーム」以降、すなわち2000年前後以降の「お笑いブーム」は、「ネタ番組」がブレークする芸人を選別する一種の装置として機能しており、そこで見出された芸人は、次なるステップとなる「トーク番組」、「ロケ番組」といった(「ネタ番組」以外の)「バラエティ番組」への切符を手にする。そこで新たな立ち位置を獲得することに成功した者が、このお笑い界に残ることが可能となる(『PART2』参照)一方、「ネタ番組」時代にブレークするきっかけとなった強烈なキャラやインパクトを引きずり続け、次なるステップにおいて方向転換できない芸人は「一発屋芸人」となり、その姿を次第に消していく…(『PART3』参照)。



僕は『PART1』で、「お笑いブーム」の時代区分として、「第5次」を2000年前後〜2008年、「ポスト・第5次」を2008年〜と勝手に定義付けさせていただき、『PART2』『PART3』では基本的に「第5次」について——ハッキリと明記はしていませんが——語っていました。

ではなぜ、勝手に2008年以前と以降で「お笑いブーム」を区切るのか?
今日はまず、そのことについて述べたいと思います。


『PART1』でも述べたとおり、「ネタ番組」が芸人選別装置として機能しているという点では、「第5次」も「ポスト・第5次」も相違ありません。
では何が異なるのか?具体的に言えば、2008年に一体何があったのでしょうか?

これも『PART1』で少し触れたことですが、2008年前後にいくつかの新たな「ネタ番組」がレギュラー放送化されて人気を博しました。
「レッドカーペット」、「レッドシアター」(ともにフジテレビ)、「あらびき団」、「イロモネア」(ともにTBS)といったところです。

これらの2008年前後以降の「ネタ番組」は(「レッドシアター」を除いて)演者の出演時間が短い、いわゆる「1分間ネタ」という方式を採用しています。
例えば、中でも1番の視聴率を誇り今や休日のゴールデンタイムに進出した「レッドカーペット」。芸人たちは赤いカーペット(ベルトコンベアー)の上で約1分間ネタを披露しますが、ネタが終了すると同時にそのカーペットが流れていき、その上に乗っている芸人も自ずと流れていくという仕組みになっています。

実際に現状は「レッドカーペット」の大勝利という形でして、その勢いは、かつての「ネタ番組」の総本山たる「エンタ」を番組打ち切りに追いやるほどです。(「レッドカーペット」の勢いは、同世代の「イロモネア」の放送終了までにも及ぶ程です!)


そう、2008年「レッドカーペット」のレギュラー放送開始は、「一分間ネタ」革命とも呼ぶべき事態を巻き起こしたのです!!


今年3月に放送を打ち切られた「エンタ」は、基本的に演者=芸人の持ち時間は自由でして、だからこそ、アンジャッシュ、インパルス、ドランクドラゴンアンタッチャブルタカアンドトシサンドウィッチマンといった比較的長い時間を持つ実力派芸人から、レイザーラモンHG波田陽区ムーディ勝山、にしおかすみこといった持ち時間の短い、後に「一発屋芸人」となる芸人まで幅広い芸人を大量に輩出してきました。
注目しておきたいのは、後期「エンタ」は、特に後者のショートネタに焦点を当てるような番組作りを進めていた、ということです。
そして、その点に注目した番組プロデューサーたちが、ショートネタ=「一分間ネタ」のみに特化した番組を作り出し始めたのが、2008年前後だった、ということです。


さあ、「レッドカーペット」に代表される「1分間ネタ」革命時代の今、そこから輩出される芸人のほとんどが、<第5次>における「一発屋芸人」的方法論(=決めゼリフ+強烈なキャラ→強烈なインパクト+笑い)を採用すことを余儀なくされてしまうのではないか?

この疑問に応えるべく、次回(『PART5』)は、「一分間ネタ」の興隆が芸人のネタに及ぼす影響について考察したいと思います。

『現代お笑い論 PART3』 —ネタ見せ番組時代の申し子=「一発屋芸人」

前回(『PART2』)は、前々回(『PART1』)で述べた、「第5次お笑いブーム」以降=2000年前後以降おいて「ネタ見せ番組」がブレークする芸人を選別する装置として機能している、ということを踏まえた上で、その芸人選別装置としての「ネタ見せ番組」において笑いを勝ち得ることのできた=ブレークの切符を掴むことのできた芸人たちを列挙しました。

そうした芸人たちを列挙する中で、僕は意識的に、2000年代以降に数多く生まれては消えていった「一発屋芸人」たちを排除しました。
彼ら「一発屋芸人」たちは、、「第5次お笑いブーム」の本質を示しているという意味で、「第5次お笑いブーム」の申し子と言っても過言ではない存在であります。そこで今回、記事を1つ割いて、「一発屋芸人」について語りたいと思います。

一発屋芸人」とは、一度大ブレークを果たすもののその後ブレークが続かず、一時のブレークが嘘のようにその姿を消してしまう芸人のことを指します。
また多くの「一発屋芸人」が決めゼリフを持っているという点で特徴的です。

ではどのような点で、「一発屋芸人」が「第5次」の申し子的存在なのか?
このことに答える前に、まず「第5次」において活躍した「一発屋芸人」の中でも代表的な芸人たちを、決めゼリフも併せて以下に列挙してみましょう。


・三瓶:「三瓶です」(慢談、自虐)←「BUCK UP!」(フジテレビ)
テツandトモ「なんでだろう」(歌ネタ、あるある)←「オンバト
ダンディ坂野:「ゲッツ!!」(慢談)←「オンバト
はなわ:「SAGA佐賀♪」(歌ネタ)←「オンバト」、「エンタ」
いつもここから:「悲しいとき〜」(フリップ芸、あるある)←「オンバト」、「エンタ」
波田陽区:「残念!!(歌ネタ、毒舌) ←「エンタ」
・ヒロシ:「ヒロシです(慢談、自虐)←「エンタ」、「笑金
・レギュラー:「あるある探検隊!!」リズム芸、あるある)←「笑わず嫌い王」
レイザーラモンHG:「フォー!」(一発ギャグ)←「バク天」(TBS)、「笑金
長州小力:「キレてないっすよ」(ものまね)←「笑わず嫌い王」、「笑金
桜塚やっくん(フリップ芸、客いじり)←「エンタ」
・にしおかすみこ:「アーーッ!!」(慢談)←「エンタ」
ムーディ勝山:「右から左へうけながす〜♪」(歌ネタ)←「エンタ」
・山本高広:「キター!!」(ものまね)←「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権
エドはるみ:「グー!」リズム芸)←「エンタ」
藤崎マーケット:「ラララライ」リズム芸)←「エンタ」
髭男爵:「ルネッサーンス!!」(漫才)←「エンタ」、「レッドカーペット」


といったところでしょうか。
御覧の通り、彼らの多くというかほとんどが、「ネタ番組」をきっかけにブレークを果たしております。
何度も述べたとおり、「第5次」以降、すなわち2000年前後以降、芸人にとって「ネタ見せ番組」はある種の登竜門として存在しており、芸人は「ネタ見せ番組」でウケるもしくはインパクトを残すことで認められることが非常に重要になります。と言いますよりむしろ、「ネタ番組」で名前を売らないことには、芸人として食っていけるようになれない、と言っても過言ではない状況にあると思います。
そこで、上記のような「一発屋芸人」たちは、決めゼリフや特異な衣装を用いたインパクトの強い飛び道具的な芸・ネタを駆使して、「ネタ見せ番組」で名前を売り、一躍ブレークを果たしました。
このような「一発屋芸人」的方法論は、ネタをじっくり考えて練るということや、他の芸人との経験の差といったようなことに、余り気を使わずにネタ作りが出来るという点で非常に経済的なのです。

しかし、「ネタ見せ番組」はあくまで登竜門に過ぎず、そこを越えるだけで一生食っていけるほど、お笑いの世界は甘くありません。「ネタ番組」はあくまで、スタート地点なのです。
彼らがブレークを果たしテレビへの露出が増えるのと並行して、当初絶大なる力を持っていたインパクトも次第に薄れてしまいます。また、「ネタ見せ番組」という芸人選別装置が、生きのいいフレッシュな芸人を次から次へと発掘していきます。
そこで、飽きられる前に、次なるステップである「トーク番組」などの(「ネタ見せ番組」以外の)バラエティ番組で新たな立ち位置を見出すことをしないと、視聴者やディレクターに飽きられ、次第にテレビから消えていってしまいます。
一発屋芸人」というのは、残念ながらこのような方向転換に失敗してしまった芸人たちの末路なのです。


前回列挙した芸人たちと「一発屋芸人」との相違点とは、「一発屋芸人」が「ネタ見せ番組」の次なるステップである、「トーク番組」や「ロケ番組」といった(「ネタ見せ番組」以外の)バラエティ番組における新たな立ち位置(「ひな壇芸人」など)を獲得できなかったところにあるのです。

「第5次お笑いブーム」の根幹である「ネタ見せ番組」が生み出した「一発屋芸人」たち…。
彼らの存在から、「第5次お笑いブーム」の「ネタ見せ番組」の重要性が浮かび上がるのと同時に、次なるステップとしての(「ネタ見せ番組」以外の)バラエティ番組における新たな立ち位置の必要性も浮かび上がってくるのです。
その意味で、「一発屋芸人」は「第5次お笑いブーム」の本質を示している、と言えるのではないでしょうか。

『現代お笑い論 PART2』 —バトルロアイアルを勝ち抜いた戦士=芸人たち

前回(『現代お笑い論 PART1』)は、2000年代以降の「第5次お笑いブーム」(+ポスト「第5次お笑いブーム」)においては、「ネタ見せ番組」がブレークする芸人を選別する機能を果たしている、ということを述べました。つまり、芸人たちにとって「ネタ見せ番組」は、ある種の超えなければならない壁=登竜門であった、ということです。

では、このように極めて弱肉強食的、バトルロアイアル的な世界である「ネタ見せ番組」において笑いを勝ち得、「第5次お笑いブーム」を牽引しているのは具体的にどのような芸人たちでしょうか?
今回は『現代お笑い論 PART2』として、上記の要件に該当すると思われる芸人を以下に列挙してみましょう。ただし今回は「第5次」時=2000年前後〜2008年にブレークした芸人に限り、ポスト「第5次」時=2008年以降にブレークした(している)芸人は挙げませんでした。


中川家吉本興業
 ―「オンバト」10戦9勝、「M-1」第1回優勝
  →「リチャードホール」、「ジャイケルマクソン」、「リンカーン」etc.
品川庄司吉本興業) 
 ―「オンバトC大会」第2回2位、「オンバト」7戦6勝、「M-1」第5回4位
  →「笑っていいとも」、「ロンドンハーツ」、「ヘキサゴン」、「アメトーーク」etc.
陣内智則吉本興業
 ―「オンバト」16戦全勝、「エンタ」
  →「ジャイケルマクソン」、「ロンドンハーツ」etc.
キングコング吉本興業
 ―「オンバト」6戦全勝、「M-1」第1回7位,第7回3位,第8回8位
  →「はねるのトびら」、「音楽戦士」、「笑っていいとも」etc.
ますだおかだ松竹芸能
 ―「オンバトC大会」第2回3位,第3回2位、「オンバト」17戦全勝、「M-1」第2回優勝
  →「ヘキサゴン」、「アメトーーク」etc.
フットボールアワー吉本興業
 ―「オンバト」12戦8勝、「M-1」第2回2位,第3回優勝,第6回2位
  →「ジャイケルマクソン」、「アメトーーク」etc.
アンタッチャブル人力舎
 ―「オンバトC大会」第4回2位,第5回優勝,第6回2位、「オンバト」22戦20勝
  M-1」第3回3位,第4回優勝、「エンタ」、「笑金
  →「リチャードホール」、「Qさま」、「ロンドンハーツ」、「アメトーーク」etc.
次長課長吉本興業
 ―「オンバト」6戦3勝、「エンタ」
  →「すべらない話」、「くりぃむナントカ」、「シルシルミシル」etc.
青木さやか(ワタナベエンターテイメント)
 ―「オンバト」8戦2勝、「エンタ」、「笑金
  →「Qさま」、「音楽戦士」、「ロンドンハーツ」etc.
おぎやはぎ人力舎
 ―「オンバト」18戦13勝、「M-1」第1回10位,第2回4位、「エンタ」
  →「リチャードホール」、「くりぃむナントカ」、「ロンドンハーツ」、「アメトーーク」etc.
・インパルス(吉本興業
 ―「オンバト」6戦5勝、「エンタ」、「KOC」第2回4位
  →「はねるのトびら」、「アメトーーク」etc.
劇団ひとり太田プロ
 ―「オンバト」1戦1勝、「エンタ」、「笑金
  →「リチャードホール」、「笑っていいとも」、「アメトーーク」etc.
・ブラック・マヨネーズ(吉本興業
 ―「オンバト」8戦2勝、「M-1」第5回優勝
  →「ロンドンハーツ」、「アメトーーク」、「いきなり黄金伝説」etc.
チュートリアル吉本興業
 ―「オンバトC大会」第5回8位,第6回9位、「オンバト」15戦11勝
  M-1」第1回8位,第5回6位,第6回優勝
  →「アメトーーク」、「笑っていいとも」、「しゃべくり007」etc.
タカアンドトシ吉本興業
 ―「オンバトC大会」第7,8回優勝,第9回3位、「オンバト」18戦18勝
  M-1」第6回第4位、「エンタ」、「笑金
  →「お試しかっ!」、「笑っていいとも」、「いきなり黄金伝説」、「ペケポン」etc.


※その他=アンジャッシュ、ペナルティ、笑い飯ドランクドラゴン、ロバート、バナナマンアンガールズ北陽麒麟スピードワゴン友近オリエンタルラジオなだぎ武、南海キャンディース、博多華丸大吉、ハリセンボン、トータルテンボスサンドウィッチマン、NON STYLEetc.

『現代お笑い論 PART1』 ―「ネタ見せ番組」という芸人選別装置

僕は、いわゆる「第5次お笑いブーム」時に思春期を過ごしており、中高生の時には、どっぷりとお笑いの世界にハマっって、お笑い番組を見まくっていました。
そこで今回、『現代お笑い論』と題して((二重の意味で)題名カッコつけました)、ここ10年弱ずっと"お笑い"をウォッチし続けた身として、「第5次お笑いブーム」におけるお笑いと、来るべきポスト「第5次お笑いブーム」について熱く語りたいと思います。要は、お笑い好きがその好きなお笑いについて語る、というだけのことです。

まず最初に、「第5次お笑いブーム」もしくはポスト「第5次お笑いブーム」とは一体何のことを指すのでしょうか?
端的に述べると、それは、2000年前後から2008年までにテレビを中心に活躍した若手芸人たちとして中心に巻き起こったお笑いムーブメントのことを指します。なぜ「第5次」が2008年までなのかは、『現代お笑い論』の続編で述べます。とりあえずここでは「第5次お笑いブーム」を2000年前後から2008年まで、そしてポスト「第5次お笑いブーム」を2008年以降と定義しておきます。

「第5次」以降のお笑い界には次のような重要な特徴があります。すなわちその特徴とは、「第5次」で大量に世に出たお笑い芸人の多くは、2000年代初頭に始まった「ネタ見せ番組」で人気を勝ち得ることによってブレーク(のきっかけ)を掴んだ(掴んでいる)、ということです。

このような「ネタ見せ番組」として、例えば「爆笑オンエアバトル」(NHK、1999〜2010)(以下「オンバト」と略称)や「エンタの神様」(日本テレビ、2003〜2010)(以下「エンタ」と略称)、「笑いの金メダル」(テレビ朝日、2004〜2007)(以下「笑金」と略称)などが挙げられます。
また、「M-1グランプリ」(テレビ朝日、2001〜)(以下「M-1」と略称)、「R-1ぐらんぷり」(フジテレビ、2003〜)(以下「R-1」と略称)「キングオブコント」(TBS、2008〜)(以下「KOC」と略称)といった年に一回開催されるネタコンテスト番組も挙げられるでしょう。
そして、2008年以降は「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ、2008〜)(以下「レッドカーペット」と略称)、「爆笑レッドシアター」(フジテレビ、2008〜)(以下「レッドシアター」と略称)「ザ・イロモネア」(TBS、2008〜2010)、「あらびき団」(TBS、2007〜)などといった「ネタ見せ番組」が新たに始まりました。

これらの「ネタ見せ番組」は、ネタの面白さ/インパクトという「わかりやすい」指標を使って、大量に存在する若手芸人たちの中から、その後ブレークする芸人を選別する装置として機能しています。
若手芸人たちにとっては、これらの「ネタ番組」でネタを認められることが、ブレークするための一番の近道となるのです。

「空気を読めない男」 —尾崎将也脚本『結婚できない男』

つい先日まで、ケーブルテレビのフジテレビTWOというチャンネルで『結婚できない男』(尾崎将也脚本、2006年、フジテレビ系列)の再放送をやっていました。

僕の大好きな『結婚できない男』、今回でなんと5周り目でした!!

で、その『結婚できない男』とは一体どんな話かというと


主人公の桑野(阿部寛)は仕事も出来るしルックスも良いのだが、強烈なまでに偏屈、皮肉屋であり、40歳になった今も結婚せず、恋人すらもいない。そのため高級マンションで優雅な——周囲から見れば明らかに寂しくも見える——独身生活を送っています。
そんな桑野と、行きつけ(?)の病院の女医・夏美(夏川結衣)との——後に恋愛関係へと繋がるような——関係性や、母親(草笛光子)や妹夫婦(三浦理恵子尾美としのり)といった家族や、隣人のみちる(国仲涼子)や部下の英治(塚本高史)、仕事仲間の沢崎(高島礼子)といった周囲の人間たちとのまったりとした関係性を、コメディタッチで描くヒューマン・コメディ/ラブ・コメディものであります。


まあ、こう書いてしまうと極めて凡庸な話のように見えてしまいますが、「『結婚できない男』には凡庸なヒューコメ/ラブコメに陥らないような強烈な何かがある」と5周り目の今回、改めて感じました。

では、その「強烈な何か」とは何か?
端的に述べると、その「強烈な何か」とは、すなわち主人公・桑野のキャラクターの強烈さであると思います。先程、桑野のことを「強烈なまでに偏屈で皮肉屋である」と紹介しましたが、そのような桑野の性格の根底にあるものは<空気を読めない>もしくは<空気を(あえて)読まない>——一昔前風に言えばKY——ということでしょう。

前半では、このうち特に後者の側面——<空気を(あえて)読まない>がゆえに強烈な皮肉屋であるという面——がピックアップされているように思えます。

しかし中盤から後半にかけて、止むことのない周囲との小さな葛藤=喧嘩を通して、実はただ<空気を読めない>だけなのではないか?というように、主人公・桑野の印象が変わっていきます。
そして、そんな強烈なまでに<空気が読めない>彼が、たまに周囲の空気と同調する=世間一般から見て「善」だと思われる行為をやってのけるようなシーンに出会う——例えば、隣人みちるをストーカーから守ってみたりするetc.——と、猛烈に<感動>してしまう。普段は全くと言っていいほど<空気が読めない>男が——ある意味において——空気を読んでしまう、というある種のギャップ=ズレから<感動>が生まれるのです。

また平時(?)には、独特のポリシーからくる独特の空気感を持つ男・桑野と、周囲の空気感との不調和=ズレを<笑い>に落とし込む。

このように、『結婚できない男』のストーリーは基本的に、桑野の持つ独特の空気感から来る<空気が読めない=KY>というキャラ(のおかげ)で回っているのです。

そして、<空気が読めない>ということが、かくも<笑い>や<感動>を呼ぶほどに<空気>の同調圧力というか力というものが、僕たちの社会においてかくも支配的である、という当たり前のことを改めて学んだのでした。



結婚できない男 DVD-BOX

結婚できない男 DVD-BOX